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27 Jun.08 Fri
本当は先月取り上げようと思った本ですが、実は出版予定日が5月30日。その日の内に読んで感想をアップする予定が出版(配本)が遅れたのか入手できませんでした。 アーダルベルト・シュティフター作「森ゆく人」 ストーリー自体は他愛もないお話。一言でいえば「ボヘミアの森にかつて「森ゆく人」と呼ばれた老人が住んでおり、木こりの息子と静かに暮らしていた。その老人の波瀾万丈の人生絵巻。」ということになります。 大きく3部構成になっていますが、第1章の前半は多くのページが物語の舞台となっているボヘミヤの美しい風景の描写に充てられています。シュティフター独特の筆の運びで、詳細につづられた説明はまるでブルックナーの緩徐楽章を聴いているかのようです。ゆるやかにしかし確実にボヘミヤの森、モルダウ川、そしてそこに点在する村について描写が続きます。 そしてほぼ20ページにさしかかろうとする頃、ようやく主人公のゲオルグが登場します。彼と木こりの夫婦、そしてその息子との交流が淡々と描かれ、少年だった息子が旅立つとともにゲオルグはひとしれず舞台から姿を消します。 第2章は主人公の波瀾万丈の人生。第1章で「森ゆく人」となる前のお話です。 波瀾万丈といってもゲオルグとその妻となるコローナの出生から出会い、そして別れるまでが淡々と語られるだけです。ストーリーを中心とした人物の描写や物語の展開自体はシュティフターの他の作品同様素っ気ないのを通り越して唐突ですらあります。しかし語り口は淡泊であるものの、そこには登場人物に対する暖かい視線にあふれています。 そして第3章は短く、二人の再会が語られます。静かな物語のなかではほとんど唯一と言っていい劇的な部分です。シュティフターの描写はあくまで控え目で淡々としたものですが、何とも言えない悲壮感が漂います。前述の第1章はそのさらに後の話ですがそれでもあくまで静かに語られるゲオルグの老後の姿からは寂しさが感じられません。最後まで読んでからしみじみとした味わいが残ります。 出版元は京都にある松籟社。地方にある中小の出版社の一つですが、なかなか精力的にしっかりした内容の本を続けて出しています。こういっては何ですがあまり商売になりそうもない本ばかりですが、それらを比較的安価に提供しているところは良心的です。 その松籟社から「シュティフター作品集(全4巻)」が出たのはもう20数年も前のこと。2006年になってシュティフター・コレクションとして「石さまざま」の上下2巻が出版され、「森ゆく人」は第3巻目です。どこまで続くのか解りませんが是非シュティフター「全集」に発展することを期待したいところです。 私とシュティフターの出会いは、御多分に漏れず小遣いが足りずに薄い岩波文庫ばかり買いあさっていた高校生の頃です。やはりシュティフターの代表作である「水晶」でした。他のシュティフターの作品同様、とても他愛のないお話ですがその透明感あふれる精緻な自然描写、また主人公の兄弟が雪の輝きに魅せられて迷子になっていく様子が微妙な描写の積み重ねで描かれている様子や、作品全体の透明感に惹かれ、他のシュティフター作品を探すようになりました。 松籟社の「シュティフター作品集」に出会ったのは大学生の頃。今では全国進出を果たした神戸のジュンク堂が、新しくできたビルに専門書を中心とした大店舗を展開したばかりの頃でした。そのビルはジュンク堂(サンパル店)の他にもワンフロアすべてが古本屋で埋まっていたりと、それはそれは魅力的な場所だったのです。もちろん開店当日から足繁く通っており、開店記念で配られた小物の中にはレタースケールの様にその後25年近く愛用している物もあります。 その開店したばかりのジュンク堂で見つけたのが「シュティフター作品集」の最初の2巻でした。そこには「習作集」として出版されたシュティフターの作品の中から比較的初期の作品が集められていました。 中でも「曾祖父の遺稿」はお気に入りになり何度も読み返したものです。「作品集」が4巻で完結するまでその後2年弱かかったように思います。時折、ジュンク堂サンパル店の同じ棚を覗いては、続編が出版されていないか確認するのが大学生の頃の一つの習慣になっていました。 爾来文庫本や文学全集に入っているシュティフターの作品をぽつりぽつりと探してきては読むのが楽しみになっています。残念ながらシュティフター畢生の大作、「ヴィテイコー(全三巻)」はかなり高価だったこともあり、迷っている内に絶版になってしまいました。これもかつて集英社の文学全集に収録された「晩夏」がちくま文庫に収められたように、何時の日か手に入りやすくならないか、のんびり待つことにしています。 その他、今まだ手に入るシュティフターの作品(絶版になっていないもの) ・岩波文庫 「水晶他三篇ー石さまざま」 ・岩波文庫 「森の小道・二人の姉妹」 ・ちくま文庫 「晩夏」(上下2冊) ・林道舎 「ナレンブルク―運命に弄ばれた人々の城」 *以前にも紹介しましたが、シュティフターに関する素敵なHPがあります。 「シュティフターの紙ばさみ」
by credenza
| 2008-06-27 23:36
| 読書つれづれ
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