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11月の本棚 山田治生著 『トスカニーニ―大指揮者の生涯とその時代 (叢書・20世紀の芸術と文学)』
久しぶりにトスカニーニの本が出ました。日本語で書かれたトスカニーニの伝記としては、諸石 幸生著の『トスカニーニ―その生涯と芸術』がコンパクトにまとまっており、読みやすかったのですが、どうやら絶版のようで今やもうほとんど手に入れるのは難しそうです。 トスカニーニは、イタリア生まれの指揮者。20世紀を代表する、といってもいいほど他の指揮者に影響を与えたことで知られています。1957年に亡くなっていますから、もう没後半世紀以上たちます。いつも比べられるフルトヴェングラーの演奏が放送録音や海賊録音に至るまであきれるほど繰り返し再発売されるのに対して、トスカニーニの方は一時の熱狂がさめてしまったかのように、記憶のかなたに押しやられています。 私が始めてトスカニーニのレコードを聴いたのは、中学生の頃。例によってレコードを手に入れる前にずっと聞いていたFMの放送でした。どういう番組かは忘れましたが、ベートーヴェンの「英雄」の冒頭を何人かの指揮者による演奏を聴き比べるという企画でした。 その中で特に強烈な印象だったのが、刃物で切って落とすような迫力だったのがトスカニーニの振るNBC交響楽団のそれでした。当時はまだフルトヴェングラーのよさがわからないガキだった、といえばそれまでですが、とにかくパワフルでスピーディなトスカニーニの演奏に魅了され、寝てもさめてもトスカニーニだった時期があったのは事実ですし、今でもかなりの枚数のCDを処分できずに溜め込んでいます。 さて、突如として現れたこのトスカニーニ本。クラシック・ジャーナルの連載をもとに纏められたそうですが、最近この類の雑誌を読まなくなったのでいきなり浩瀚な本書が書店に並ぶのをみて、驚いてついつい購入しました。 この本の特徴は、その坦々とした記述振りです。かつて英語から翻訳されたトスカニーニに関する書物は、多かれ少なかれこの20世紀を代表するイタリア人指揮者の数多いエピソードをちりばめる、その人となりを明らかにしようとするのが普通ですが、本書にはそのエピソードはほとんど出てきません。ひたすら、何時どういう理由で何を振ったのか、その結果はどうだったのか、を中心につづっていきます。ある意味お役所の書類のような味気なさを感じることすらあります。 とはいえ、その客観的な記述振りこそがこの一世一代の指揮者の非凡さを浮き彫りにしていることもまた事実で、時として時代背景の説明が入るのすらくどくどしく思えることすらあります。 ただし、トスカニーニのエピソードの中でも有名なフルトヴェングラーとの確執については、これまでともすれば特定の立場や視点から書かれ、ややもすればバイアスがかかりがちになるザルツブルグでの邂逅(37年)についても、さまざまな書物からの引用をいとわず、真相にせまろうとしています。 その分、トスカニーニのファンにはたまらない点も多いこの本。今ひとつ何か物足りない気がするのは、多分、客観的にトスカニーニの生きた時代と本人とのかかわりを描こうと努めたがために、逆に人間トスカニーニの描写があまりにも少なく、なにか突き放したような感じを受けるからかもしれません。 研究書としてはそれなりの価値があると思われる本書。巻末には、メトでトスカニーニとマーラーが振ったオペラ一覧やフルトヴェングラーとともに君臨したNYフィルでの記録、さらにはストコフスキーとつとめたNBC交響楽団のシーズンの記録が載っています。これはとても興味あるところですが、このような取り上げ方をすることにより、結果としてこれらの他の指揮者との確執をことさら強調する形になっており、トスカニーニの業績を考える観点からはやや片手落ちと言わざるをえません。 先に挙げた諸石本には詳細なディスコグラフィが掲載されており、CDを聞く際には重宝したのですが、こちらの本にはそのような包括的なデータが欠落しているのは残念です。 ともあれ、トスカニーニの生涯を追って見たいと思う向きには今のところ最適な一冊かもしれません。 ちなみに、この本の出版社であるアルファ・ベータからは、同じ「20世紀の芸術と文学・叢書」シリーズの中でサム・H・白川著 『フルトヴェングラー 悪魔の楽匠』 も出ています。(この、「20世紀の芸術と文学・叢書」、結構マニアックな音楽本が入っており、目が離せません。というか、一部の本を除いてすぐ絶版になるのは如何なものでしょうか。) ちょっとバイアスかかっていますけどクルト・リース著 『フルトヴェングラー―音楽と政治 (1959年)』に並んで面白いです。
by credenza
| 2009-11-30 01:40
| 読書つれづれ
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