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22 Oct. 06 sun
14日のプルミエではイゾルデ役(Irene Theorin)が急遽風邪のため交替し、代役をつとめたフィンランドのソプラノ Kirsi Tiihonen が大変良かった事で一気に話題になったトリスタンとイゾルデ。流石にウィークデーに午後6時半から幕があがるオペラに駆けつけるのは難しいので、マチネーがかかった日曜日に出かけてきました。 今回のトリスタンは今シーズン(06-07)のモネ劇場の目玉と言ってよく、中でも時間が自由になる日曜マチネーのチケットは一般発売の開始前からほぼ売り切れ状態と言う具合の人気です。 大野和士がモネで取り上げるワーグナー作品としては、一昨年の「タンホイザー」、昨年の「さまよえるオランダ人」についで3作目ですが、毎度毎度物議を醸す演出とはことなり、大野の振るワーグナーは定評があるところです。ことにトリスタンはカールスルーエでも取り上げてきており、そのときも随分と評判になったものでした。 さて、今回のトリスタンの演出を手がけるのはYannis Kokkos。フランスを中心に活躍する演出家ですが、ことに最近ではDVDにもなっている、シャトレ座の「トロヤ人」の演出が記憶に新しいところです。 さてはて今回はどのような舞台になるのやら・・・と思ったら、一言で言うと真っ暗な舞台です。パンフレットに寄せられたココシュのエッセーを読むと、「トリスタンとイゾルデは演出家にとって難物である。・・・いかにして登場人物の心中の展開、すなわち内省的”アクション”をそれにふさわしい劇場的光景に置き換えるか?」、なる言い訳のような文章にちょっと驚かされます。 をいをい、と思いながら幕が上がると、要は真っ暗。コーンウオールも船もブルターニュも減ったくれもありません。舞台後方に紗幕がひいてあり、そこに雲が流れていく映像が投影され・・・あとはほとんど同じです。そういえば、今回の映像担当のKurt d'Haeseleerは去年「オランダ人」でも同じような雲の映像を暗い舞台に流し続けたのではなかったでしたっけ?うーん、去年と雲の形がどのように変ったかはわかりませんでした。 ちなみにココシュのエッセーの続きを読むと、「自分は音楽がその表現力を最大限に発揮できるよう、できる限り視覚的要素を切り詰め、登場人物の思考を可能な限り抽象的に表現することを目指した。」とあります。 うーん、良く判らないけれど、この考え方を徹底すると、要は舞台になにも置かず、暗闇の中で演奏するのが正しいトリスタンのあり方、のように思えるのですけど・・・とにかく、有無を言わさず舞台は真っ暗で、最初に言っている「内省的なアクションをそれにふさわしい劇的光景」に置き換えた結果、舞台は暗黒になるようですね。そりゃそうです。なぜならこのオペラ、最後の20分間で死体がゴロゴロと舞台を埋めるわけですから。 と言うわけで、4時間近く、観客はどっぷりとワーグナーの音楽にのみ浸ることになります。今回の歌手陣はほとんどがモネ劇場初登場ではありますが、それぞれヨーロッパで活躍中のいわば中堅若手で固められています。 初日、風邪で降板したTheorinはまだ完全には復調していないようで、ややセーブしながらの歌唱です。ニルソンに師事したスウェーデンのソプラノですから、ベストの時はさぞかし力強いイゾルデが聴けるのでしょうが、どうも今ひとつ煮えきれない点もどかしく、第2幕の二重唱でも最後まで冷静なまるでトゥーランドットのようなイゾルデなのでした。まあ第3幕の「愛の死」は本当に死にそうな感じが良く出ていて、そこはリアリズムでよかったのかも知りませんが、フレーズがぱらぱらと零れ落ちそうでちょっといただけませんでした。 他方、トリスタンはJohn Keyes。こちらはヨーロッパのあちこちの劇場でパルシファルやジークムントを歌いこんでいるだけあって、安心して聴いていられます。が、わずかに軽めなためか、声の輝きはワーグナーのそれよりもむしろ、イタリアオペラ、例えばラダメスだのカニオだのの方が、またワーグナーであればタンホイザーなどの「激情方」人物の方がより実力を発揮できるのかもしれません。 いずれにせよ、主役のお二人ともに声を張り上げている時はまだいいのですが、それぞれ別の理由から弱声部になるととたんに響きが薄くなってしまったのは残念です。 他の役を歌った歌手はまずまずの好演です。が、マルケ王を歌ったFranz Hawalataは随分とゆとりの無い老王で、どっちがトリスタンだかマルケだか判らないような調子でした。名バスのホッターに師事し、ウィーンでも随分活躍しているバスなのですが、今回は今ひとつピンと来ませんでした。 指揮の大野はいつものように手堅く、やや早めのテンポで音楽を進めます。とはいえ、音楽は決して上滑りすることなく、ゆったりとした厚みのある響きをオーケストラから引き出していました。 普段古いフルトヴェングラーの録音などに親しんでいるとやや速いかな、と感じないでもありませんが、要所を押さえた現代的な指揮ぶりは申し分ありません。もっとも、名盤の誉高いベーム盤と比べるとゆったりしているのですが。昨年日本人として初めてバイロイトに登場しながらも残念ながら今年は降板せざるを得なかった、大植英次のトリスタンと比べるとスマートな中にも、やや小編成なモネのオーケストラからあの響きを引き出した大野の実力は高く評価されるべきでしょう。ワーグナーが大好きなモネの観客からカーテンコールで一番大きな拍手を得ていたのは今回も大野だったのでした。 なお、このトリスタンの様子は来週末(こちらの土曜日28日午後6時半)、ベルギーのインターネットラジオMusiq3で実況中継されますのでご興味のある方は是非どうぞ。
by credenza
| 2006-10-22 23:55
| opera
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