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14 May.06 sun
ベルギーの北西、フランス国境に近いイーペル(Ieper/Ypres)の街は第一次大戦時、西部戦線が膠着し、世界で始めて毒ガス兵器が使われた街として知られています。旧日本軍も使用したといわれる「イペリット」の名前はこのイーペルがその由来です。街の中心部は戦闘で完全に破壊され、現在の街並みは第一次大戦後再建されたもので、かえって他の都市より小奇麗にみえます。 そのイーペルの街では3年に一度、5月の第2日曜日に「猫祭り」が開かれ、街中を「猫行列」が練り歩くことで知られています。 なにしろ「3年に一度」なので、行かない手はありません。「猫行列」のスタートが午後3時なので余裕を持って11時頃出発しました。 ブリュッセルからイーペルまでは約130キロ。約1時間半くらいの距離です。が、イーペルの街に近づくにつれて渋滞が激しくなります。街に入ろうとする観光客。行列の準備で街の外に出ようとする街の人。それぞれの車を警察が捌きますが、なかなかスムーズに行きません。 ともあれ軽く食事を済ませ、行列の中心となるマルクト広場で待ちます。広場には観覧席が設けられていますが、もちろんそんなチケットは売り切れ。例によって行列をひたすら待ちました。 街の主だった企業でこの祭りのスポンサーとなっているところのパレードが続き、音楽隊の後は猫にひっかけたさまざまな出し物のパレードが続きます。曰く、「歴史の中の猫」、「世界の猫」、「イーペルの猫」等々。 ゆったり進むパレードは3時過ぎから6時ごろまでかかって通り過ぎていきます。途中、キャンディなどを観客席に放り込むのはどこのパレードでも同じです。バギーの曲乗りありとなかなか楽しいのですが、ちょっとマンネリなのと、肝心の猫の表情が今ひとつかな、と思いました。 もっとも「世界の猫」の中には日本も含まれており、これ。「各国の猫」の山車が続きますが、ご年配の方なら往年の「額縁ショー」を思い出されるのではないでしょうか(笑)。 最後に伝統を引き継ぐ、大きな黒猫と白猫の山車が登場してパレードはお仕舞いです。近くに立って見物していた地元の人から、「白猫(Cieper)は今年新調したもの」と教えてもらいました。 ともあれ街中をあげて盛り上がった「猫祭り」、クライマックスは「猫投げ」。繊維会館にある鐘楼の上から猫を投げ落とします。とほいえ、1938年以降本物の猫ではなく、ぬいぐるみの猫ですが、これを拾うと幸運が訪れる、との言い伝えもあるとおりかなりの争奪戦となります。 そもそもこの「猫投げ」、何がその起源かははっきりしないそうですが、魔女と同様嫌われた猫を退治するため、であるとか、逆に「猫は幸運をもたらす」とかいろいろあるそうです。 写真はその「決定的瞬間」(笑)。落ちていく二匹の猫です。 この猫祭り、3年に一度なのでかなりの人出なのですが、日本人の方も大勢お見かけしました。何でもこの祭りのためのツアーもある由。 わざわざ日本から出かけてくることもないかと思いますが、猫好きにはたまらないのでしょうか、桟敷席の一角を日本からの観光客がぎっしり占めていたのは圧巻でした。
by credenza
| 2006-05-14 23:00
| promenade
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